2016年11月19日土曜日

お遍路手記(第10信)




お遍路に行ってきました。


今回は、前回パスした第60番札所 石鈇山福智院横峯寺、そして第64番札所 石鈇山金色院前神寺 から 第67番札所 石鈇山小松尾山不動光院大興寺 までの5ヶ寺にお参りしました。



60番札所の横峯寺までは、山の麓にある大型バスの駐車場から小型のマイクロバス2台に乗り換えて約15分で標高800mまで上がり、そこからさらに徒歩で約10分の道のりでした。マイクロバスの道中は道路幅が大変狭く、車と対向すると、どちらかが待避所までバックするということの繰り返しでした。おまけに、上り坂にもかかわらず信じられないほどのスピードで登り、左右にカーブし、まるでジェットコースターに乗っているような気分。車内の女性達はキャーキャー叫ぶほどでした。一人の男性が「車を谷底に落とさないように運転してください」と冗談交じりでお願いしたところ、ドライバーは「この車両にはパラシュートが付いていますから大丈夫です」と冗談で返してくれました。でも本当に谷底に落ちなくてよかったです。



 

マイクロバスを降りてさらに徒歩で約10分、あたりはひんやりとしており、木々の紅葉も見られ、とても気持ちのよいウォーキングの先に横峯寺がありました。よくもこんな場所にお寺が建立されたものです。第45番札所の岩屋寺は88か所で一番厳しい道のりですが、ここもそれに匹敵する場所でした。



参拝後、マイクロバス乗場で待っていると、小さな売店の片隅に「野鳥の餌をどうぞ」という告知があり、数人が手のひらに「ひまわり」の種をのせて、手を高く掲げました。すると、どこからかヤマガラが現れ、手のひらに乗り、すぐに餌を咥えて飛んで行く光景を目にしました。とてもビックリです。私も試みたところ、かわいいヤマガラが手のひらに降り、ゆっくりと餌を咥え、飛んでいきました。その間約3秒くらいでしょうか。素晴らしい野鳥と人間との信頼関係です。

静かなお遍路さん達ならではこそ この関係が実現したのでしょうか。ご住職がその瞬間を写真に撮ってくださっており、あとからそのデータがいただける予定です。(後日掲載します)



65番札所 由霊山慈尊院三角寺も道のりが険しく、大型バスの駐車場からジャンボタクシーに乗り換えて15分ほどで三角寺にやっと到着しました。この寺には、名前の由来である小さな三角の池があり、その中に自然の岩で出来た三角形の島の上に小さな祠が建てられていました。



そして、第66番札所 巨鼇山千手院雲辺寺 です。



このロープーウェイはロープの支柱間が最長1,800mで
日本で一番長いそうです。



            


雲辺寺は標高916mまでロープウェイで登ります。頂上の気温は7℃、ロープウェイの乗降場から雲辺寺までの参道は灯篭と五百羅漢がたくさん並んでいました。読経で合掌する手がとても冷たかったです。





本日最後のお寺は第67番札所 小松尾山不動光院 大興寺でした。ここには四国八十八か所の中で一番大きな「金剛力士像」が安置されています。仏師は名高い運慶作と伝えられ、背の丈は3m、とても力強い像でした。




四国霊場八十八ケ寺、どのお寺を参拝しても、特に由緒あるお寺、もしくは大きな特徴のあるお寺でなければ、なかなか詳細な記憶が残りません。各寺院の本堂と弘法太子堂で思いをはせながら読経し手を合わせ、それを繰り返し巡っています。

遍路をしている人はそれぞれに理由があるのでしょうが、私のきっかけは知人から誘われたことでした。、しかし他人から誘われて参加した私でも、お遍路さんとして今まで巡ってきたおかげなのか「祈ることで自然に自分を見つめる」ことが出来るようになりました。自分は何を考えているのか、何を思っているのか、何を願望しているのか・・・そのような無意識な自分の心が「仏への祈り」として出てくるように感じられます。

いつも同行してくださるご住職は「朝日のきらめくような光が体を突き抜けるように、大日如来様の温かいご慈悲で包まれていることを感じながらお経をあげましょう」と毎回のように慧てくださいますが、なかなか到達できません。



次回は来春3月です。




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